私の全財産を長男に相続させます。
「私の全財産を長男に相続させます。」
という遺言、有効だと思いますか?
今日は「遺留分」についてお話しします。
民法は遺留分というものを定めており、直系尊属(親、祖父母等上の世代)だけが相続人の場合は法定相続分の3分の1、それ以外の場合は2分の1としています。兄弟姉妹には遺留分はありません。
例えば、亡くなった方に妻、長男、次男がいたとします。この場合、法定相続分は妻2分の1、長男次男は各4分の1となりますので、遺留分は妻4分の1、長男次男各8分の1といった感じです。
冒頭のような遺言がされたとしても、妻は相続財産のうち4分の1、次男は8分の1を確保できるということになります。
では、この遺留分を無視した遺言は無効かというと、そういうわけではありません。遺言としては有効ですが、もし遺留分権利者が請求した場合はその分を返さなければならない、ということです。とは言え、遺言を作成する際にはこの遺留分というものを十分に考慮する方が円満な相続につながると思います。
さて、これは私見ですが、この遺留分という制度は相続争いの種であり、悪法であると考えています。生前は好きなように自分の財産を処分することができるのに、死亡後は遺言を書いても自由に処分できないというのは不自然ではないでしょうか。
中には家督相続制度の復活を唱える人もいますが、私はそこまでしないまでも、せめて遺留分の制度はなくしてもいいのではないかと考えております。
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